「もっと一日一日を楽しんでおけば良かった」
誰かが言った。
俺もそう思わなくも無い。決して否定しない。
だがそれを後悔したところで、明日からの人生を一日一日目一杯楽しむ人間が居るだろうか?
恐らくそんな奴は居ないだろう、無論俺も含めて。
今日という日も、昨日までの3年間も、楽しかった事・辛かった事を混濁していきながらやがて思い出として美化される。
それは先人達が通ってきた道。
これから俺達が通る道。
人が人である限り、脳が記憶を思い出という形に変えてゆく限り。
皆と過ごした校舎を背にして、俺は次の分れ道へ。
俺には無い筈の、後ろ髪を少しだけ惹かれる想いで。
これからこの道を行く後輩に、日常の幸せを。
共に巣立つ同期の桜に、再開の誓いを。
俺はまだ戦う道を選ぶ。この学園で得たモノをもう少しだけ大切にしたいから。
仰げば、尊し。
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